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レポート:TTT vol.03 まちづくりについて考えるワークショップ「あかりが変わると、まちが変わる」

2023年10月24 日(火)19:00〜20:30(開場18:30)、ウズハウス3F イベントスペースにて、下関の未来とまちづくりについて考えるワークショップ、TTT vol.3が開催されました。

TTT vol.03 を振り返って

今回は前回の参加人数を6名上回る、一般市民の皆さん22名と専門家・KAMのメンバーを含め32名の方々にご参加いただきました。
また、10名の皆さんがTTTに初参加いただき、まちづくりの和の広がりを感じました!

◉ゲストスピーカー|長町 志穂 さん

・株式会社LEM空間工房 代表
・京都芸術大学客員教授/大阪市・神戸市景観審議会委員

大阪の郊外で育ち、京都工芸繊維大学で空間デザインを学びました。
卒業後、松下電工株式会社 (現パナソニック)に勤務し、その過程で日本の伝統文化に関わりモノづくりや建築・庭園の流 儀を学びました。
その後都市デザインの専門家との交流が増えその分野に強く興味を持ち、2004年に独立し現在に至ります。
現在は都市計画・土木・まちづくりに軸足を置いており、特に都市の夜間景観計画立案やガイドライン策定、照明を核とする公民連携でのまちづくりやイベント・パブリックアートなどに企画立案から関わる独自の活動をおこなっています。
照明社会実験や ワークショップも行います。現在のプロジェクトは国内全域です。

・「神戸市フラワーロード、メリケンパーク」「堂島大橋」「天橋立あかりのまちづくり」「水木しげるロードリニューアル」「長門湯本温泉」など実績がある。
・下関市「あるかぽーと・唐戸エリアマスタープランデザイン会議」照明デザインの専門家として参画。

「あかりが変わると、まちが変わる」

長町さんがこれまで手掛けられた全国のステキな夜間景観デザインの事例を、プレゼンテーション形式でお話しいただきました。
「場所の声を聞く」下関の魅力を照らすあかりとは?

0.ワークショッププレトーク(長町さん)
・寝屋川市のクリスマスの事例を紹介。

1.ワークショップ(タウタウントーク)の説明

2.長町さん自己紹介

3.照明デザインという職の領域について
・ホテルや大型商業施設:建築家と組むプロジェクト
・インテリアの仕事:建築を触らずともあかり次第で空間が激変する古い旅館再生の事例

4.地方都市でのあかりデザインプロジェクトの進め方や事例の紹介
長町さんはあかり(照明)でできることは、環境を作ることと何かしら利活用を考えることで、まちづくりと非常に親和性があるとおっしゃいます。
常に社会実験を実施しながらプロジェクトに取り組まれています。

・その土地ごとの大切な「まちのお宝」を地元の人の話を聞きながら探す
・5ヘクタールの公園の照明をコンピューターで制御した事例
・照明のエネルギーコントロールについて
・災害とあかりの事例
・学びとあかりの事例
・お祭りとあかりの事例
・地元の人たちと一緒にあかりで絶景を作る事例
・神戸メリケンパークの事例
・照明コスト13億円で258億円の経済効果があった水木しげるロードの事例

5.あかりによる様々な効果と事例
・有名な建築家がデザインした橋の事例
・長門湯本の事例
・駅前の白い照明の問題点と事例
・名古屋の団地の事例
・あかりの色について
・旅館の事例
・水木しげるロードの事例

6.下関でこれから進めていく計画や社会実験について
長町さん:下関を2泊したくなるまちへ!
エリアごとに方向性やルールを決め、エリアによって魅力が異なることで1晩では完結しきれない魅力を作る必要があります。

・3月に実施予定の下関の社会実験を踏まえて、全国で進行中の社会実験の事例を紹介
・まずはまち歩きをしてあかりが有るほうが良いのか、無い方が良いのかをみんなで点検していくプロセスが必要。
・長町さんが考える、あかりのマスタープラン「下関ベイエリアあかりのアクションプラン」の説明
・デートをしたくなるあかり、知ってる?
・神戸の事例
・安藤忠雄氏デザインの公園の事例
・メリケンパークの事例

7.世界の港湾の事例
・シドニーのオペラハウスの事例
・オスロの事例
・コペンハーゲンの事例
・あかりで変わる下関の可能性

フリーディスカッション、質疑応答

質問-01. 照明による物の劣化について知りたい
(質問者:株式会社リージョナルマネジメント 北尾さん)

北尾さんが代表を務める株式会社リージョナルマネジメントは、「関門海峡キャンドルナイト下関実行委員会」の開催事務局を担当されています。
毎年11月に開催されるあかりのイベントで使用する照明器具などの劣化についての質問をいただきました。

長町さん:LEDが使われるようになり、以前のように熱が出ないので照らされたものが劣化しにくくなりました。
また、照明計画を考えると同時にエネルギー量を制御していく必要があります。

北尾さん:エネルギーが小さいのであれば夜中でも照明をつけっぱなしでも良いのでしょうか?

長町さん:場所毎に照明が消える・消すべき適正な時間はあります。
樹木は性質として有る程度暗くする時間が必要です。稲などを照明で照らすことは性質上ダメなものもあります。
よくある話として、照明をコントロールする装置の初期投資金額にビビってしまい、将来の大きな電気代を削減できないことがあります。

質問-02. 演出照明の電気代をどのようにイメージしたら良いでしょうか?
(質問者:株式会社リージョナルマネジメント 植木さん)

長町さん:例えば小さな行燈を100パーセントの明るさで一日付けていても、恐らくコーヒー1杯分の金額にも満たないのです。
他にも、例えば家に木があったとして、それをライトアップすることが出来ればそれを眺めてワインを飲むという楽しみにつながるが、そのライトアップに必要な電気代がLED照明を使えば非常に小さくなります。

まとめ

TTT vol3は、途中参加の方も含め、テーブル席に座りきれない程たくさん方々にご参加いただきました。
長町さんには、基本的な照明計画や改善のポイント、プロジェクトを進めていく上で大切なプロセスなどの情報を惜しみなくご共有いただきました。
あかりに関する専門知識を持たない一般の参加者でも、あかりについて自分たちでできることやその方法を、分かり易く学ぶことができたのではないでしょうか。

また、これから進んでいく「あるかぽーと地区」の社会実験や照明計画のさわりをお話しいただき、今後のカイキョーリボーンプロジェクトの実現について、期待感が膨らむ時間となりました。
そしてなんと言っても、あかりでまちも人の心も照らす長町さんのトークに、完全に魅了されたのでした!
長町さん、ありがとうございました!

次回のTTT vol.4 は2023年11月27日(月)に開催予定です。
ゲストスピーカーはランドスケープデザイナー、STGK Inc. (株式会社スタジオゲンクマガイ) 代表 熊谷 玄さんをお迎えします。
詳しい情報はしばらくお待ちください。

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